シンガポールで法人を設立した後、多くの日系企業が悩むのが、会計・税務をどの会計事務所に依頼するかという点です。
ローカル会計事務所に依頼する方法もあれば、日本語対応が可能な日系会計事務所に依頼する方法もあります。どちらが常に正解というわけではありません。ただし、日本本社とのやり取り、親子会社間取引、駐在員関連費用、本社報告などが関係する場合は、日系会計事務所を使うメリットが出やすくなります。
日系会計事務所に依頼するメリット
1. 日本本社への説明がしやすい
シンガポール法人の会計・税務は、現地だけで完結するものではありません。日本本社が月次で数字を確認し、予算管理、連結決算、内部管理に使うケースが多くあります。
日系会計事務所であれば、日本本社が見たいポイントを理解したうえで、試算表、費用明細、債権債務、親子会社間取引などを説明しやすい形に整理できます。
2. 日本語で論点を確認できる
会計や税務の論点は、英語で説明を受けると理解できても、社内説明や本社報告の段階で言葉にしにくいことがあります。
特に、GST、法人税、源泉税、駐在員関連費用、親子会社間取引などは、単なる翻訳ではなく、実務上の意味を日本語で整理できることが重要です。
3. 親子会社間取引を整理しやすい
日系企業のシンガポール法人では、日本本社との取引が発生しやすくなります。例えば、マネジメントフィー、立替金、ロイヤルティ、出向者費用、配当などです。
これらは会計処理だけでなく、税務上の説明や証憑整理も必要になります。日系会計事務所に依頼することで、日本側・シンガポール側の両方を意識した整理がしやすくなります。
4. 現地担当者の交代時にも管理を継続しやすい
シンガポールでは、管理部門のローカル化が進む一方で、スタッフの転職や担当者交代も珍しくありません。
日系会計事務所が月次の資料、証憑、未解決事項、税務論点を整理しておくことで、担当者が変わっても本社側が状況を把握しやすくなります。
注意点
1. 日系会計事務所なら何でもよいわけではない
日本語対応ができることと、実務の品質が高いことは別です。依頼前には、月次報告のスピード、担当者の経験、税務論点への対応範囲、料金体系を確認する必要があります。
2. 料金はローカル会計事務所より高くなることがある
日系会計事務所は、日本語対応や本社報告の整理が含まれる分、ローカル会計事務所より料金が高くなる場合があります。
ただし、後から本社側で資料を作り直したり、年度末に論点をまとめて整理したりするコストを考えると、月次段階で整理しておく方が結果的に効率的な場合もあります。
3. 業務範囲を明確にしておく必要がある
記帳代行、法人税申告、GST申告、月次報告、会計税務顧問、本社報告サポートは、それぞれ業務範囲が異なります。
「会計をお願いしている」と思っていても、実際には記帳と申告だけで、本社向けの説明や月次管理は含まれていないことがあります。契約前に、どこまで対応してもらえるかを確認しておくことが重要です。
どのような会社に向いているか
シンガポールの日系会計事務所は、特に次のような会社に向いています。
- 日本本社への月次報告が必要な会社
- 親子会社間取引がある会社
- GSTや法人税の論点を日本語で確認したい会社
- 現地管理部門をローカル化している会社
- 駐在員を置かずにシンガポール法人を管理している会社
- 既存のローカル会計事務所の資料を本社側で使いにくいと感じている会社
まとめ
シンガポールの日系会計事務所に依頼するメリットは、日本語対応だけではありません。
本社報告、親子会社間取引、月次管理、税務論点の整理など、日本本社がシンガポール法人を管理するうえで必要な情報を整理しやすくなる点にあります。
一方で、料金や業務範囲は事務所によって異なるため、依頼前に何をどこまで任せるのかを明確にしておくことが重要です。
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