シンガポールは低い法人税率と充実した税優遇制度で知られており、アジアにおける事業拠点として多くの日系企業が選択しています。本記事では、法人税の基本的な仕組みと、設立初期のスタートアップが活用できる優遇制度をわかりやすく解説します。

1. シンガポールの法人税率

シンガポールの法人税(Corporate Income Tax / CIT)の標準税率は 17% です。日本の実効税率(約30%)と比較すると大幅に低く、これがシンガポール進出の大きな動機の一つとなっています。

なお、シンガポールでは法人から株主への配当金は原則非課税です。

2. 設立初期に使える主な税優遇制度

① スタートアップ税免除制度(Tax Exemption for New Start-Up Companies)

設立から最初の3課税年度において、以下の免除が適用されます。

課税所得免除率
最初の SGD 100,00075% 免除
次の SGD 100,00050% 免除

つまり、課税所得が SGD 200,000 以内であれば、最大 SGD 125,000 分が免税となります。スタートアップにとって非常に大きなメリットです。

適用条件(すべてを満たす必要があります)
1. シンガポールで法人登記されていること
2. その課税年度(YA)においてシンガポール税務上の居住法人(Tax Resident)であること
3. その課税年度の基準期間を通じて、発行済株式の総数が20名以下の株主により直接保有されていること。かつ、以下のいずれかを満たすこと:
 (a) 株主全員が個人であること、または
 (b) 少なくとも1名の個人株主が、発行済普通株式の10%以上を保有していること

なお、投資持株会社および不動産投資・開発会社は対象外となります。

② 部分税免除制度(Partial Tax Exemption)

スタートアップ免除の対象外となった後も、以下の部分免除が継続して適用されます。

課税所得免除率
最初の SGD 10,00075% 免除
次の SGD 190,00050% 免除

③ キャピタルアローワンス(Capital Allowance)

機械・設備・ITシステムなどへの投資については、減価償却に相当するキャピタルアローワンスを費用として計上でき、課税所得を圧縮できます。

3. GST(消費税)について

シンガポールの消費税(GST)は現在 9%(2024年現在)です。年間課税売上が SGD 1,000,000 を超える場合は GST 登録が義務となります。任意登録も可能で、仕入れにかかった GST を還付請求できるメリットがあります。

4. 日本との二重課税防止

日本とシンガポールの間には 租税条約 が締結されており、両国で課税される二重課税を防ぐための措置が設けられています。配当・利子・ロイヤルティの源泉徴収税率の軽減が適用されるため、日本本社とシンガポール法人間の取引設計において重要なポイントとなります。

税務処理は個々の事業状況によって大きく異なります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、具体的な税務判断については専門家へのご相談をお勧めします。

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